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俳句庵2023年12月優秀賞発表

季題 

  • 戦禍なき平和を祈るクリスマス

    ブラジル 林 とみ代 様

  • 病窓に見やる聖夜の街灯り

    長野県 木原 登 様

  • 子どもらの輝く瞳クリスマス

    東京都 右田 俊郎 様

  • 寂がよし老の二人のクリスマス

    神奈川県 山田 ひろ志 様

  • 露地の灯に彩り添ふるクリスマス

    安立 公彦

安立 公彦 先生 コメント

十二月の題は「クリスマス」です。歳時記は次のように記しています。クリスマスは、キリストのミサを意味します。キリストの降誕を祝って十二月二十五日に行われますが、キリストの生まれたのは夜なので、その前夜をクリスマスイブとしてミサを行います。復活祭と共に最も大きな行事です。
 現在、クリスマスは、世界の大方の国で祝され、日本もその一つです。歳時記に明文化されているのを見ても、クリスマスは、季節の一つの節となっているのが理解出来ます。クリスマスイブを聖夜、クリスマスツリーを聖樹と、季語も定着して来ています。

 優秀賞の林とみ代さんの句。この上五中七は、独り「クリスマス」に限らず、現世の全ての人の願望です。「祈る」という然りげない言葉が、この現し世の全ての人に、然りげなく、しかし厳しく捉えられています。
 木原登さんの句。病院の高階から見渡す街明りです。それも「聖夜の街明り」です。その街明りの一つ一つに聖夜の灯火が点っています。視界も広く、「街明り」も生活を写しています。言葉も善く選別してあります。
 右田俊郎さんの句。一転、対象は「子どもら」となります。「輝く瞳」が、実在の子供たちを見るようです。その思いは、「クリスマス」に通う清純さを放っています。
 山田ひろ志さんの句。「寂」はせき、でしょうか。じやく、でしょうか。涅槃の異名と辞書にあります。静寂さを意味する言葉と受け取っています。「老いの二人のクリスマス」が、全てを語っています。
  今月の佳句。〈家々の小さな灯り聖夜かな 井内胡桃〉。〈聖堂にひびく讃美歌クリスマス 岩川容子〉。〈一人居の己に聖菓買ふ夜かな 後藤允孝〉。〈クリスマス佛徒なれども祝ひけり 近藤 博〉。

◎ 優秀賞、入賞に選ばれた方には、山本海苔店より粗品を進呈いたします。

今月の応募作品

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