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俳句庵2023年7月優秀賞発表

季題 

  • 北欧へ白夜見る旅夏休み

    ブラジル 林とみ代 様

  • 吹く風に昭和の匂ひ夏休み

    東京都 岩崎美範 様

  • 寺の子の得度の儀式夏休み

    滋賀県 東野眞知子 様

  • 高原の風を手招き夏休み

    三重県 後藤允孝 様

  • 熟き茶を欲る古里や夏休み

    安立 公彦

安立 公彦 先生 コメント

「夏休み」はご承知の通り晩夏の季語です。手許の歳時記を見ると、「夏休」、「夏休み」と夫々の目次がついています。愛用の、「俳句用字便覧」(平成十年刊)では、「夏休み」とあり、「日本大歳時記」(昭和五十七年刊)では、「夏休」とあります。現在は「夏休み」が普通でしょう。夏休みと言えば「高齢」となった今でも、こころの弾みを覚えます。皆さんの作品にも、そういう思いの句がありました。それもまた俳句の思いです。
優秀賞の林とみ代さんの句。「北欧」は、アイスランド、デンマークなど五か国、「白夜」は、日没から日の出までの、太陽光の星する薄明を指します。この句、「白夜を見る旅」が上五、下五の言葉を善くまとめています。それぞれの言葉に詩情があります。
岩崎美範さんの句。平成改元から三十五年過ぎました。私たちには、平成も令和も、昭和からはみ出した年号という思いが、今も残っています。この句、「昭和の匂ひ」が、そういう思いをベースしているように思われます。「吹く風」が時の推移を包んでいます。
東野眞知子さんの句。「得度」は、剃髪して仏門に入ることです。一読句の背景は読み取れます。その儀式が「夏休み」に行われるのも、何となく時を得ている感じがします。「夏休み」が善く「寺の子」を包んでいます。同時発表の、「校長にペンキの匂ふ夏休み」の句も善く分かる句です。
後藤允孝さんの句。詩情あふれる作品です。「高原の風を手招き」が善いですね。「高原」ですから、風は四方から吹いているのでしょうが、それを「手招き」と表現した言葉に詩情を感じます。「夏休み」も善く一句の背景を成しています。この「夏休み」は、年齢に拘りのない夏休みです。
今月の佳句。〈子供らの笑顔はじける夏休 中村万年青〉。〈海鳴りの聞こゆる宿の夏休み 小山 吾浪〉。〈親と子の俳句教室夏休み 鈴木千年〉。〈夏休み父母兄在りし遠き日々 岸野孝彦〉。

◎ 優秀賞、入賞に選ばれた方には、山本海苔店より粗品を進呈いたします。

今月の応募作品

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