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俳句庵2023年9月優秀賞発表

季題 

  • 敬老の日とて変わらぬ畑手入れ

    福岡県 西山 勝男 様

  • 老いたれど心は若く敬老日

    ブラジル 林 とみ代 様

  • 健康にまづは感謝の敬老日

    神奈川県 井手 浩堂 様

  • 亡き父母に息災を告ぐ敬老日

    東京都 岩崎 美範 様

  • 夕風に仰ぐ一樹や敬老日

    安立 公彦

安立 公彦 先生 コメント

九月の季題は「敬老の日」です。歳時記はこう記しています。「国民の祝日。一九六六年。従来「敬老の日」だった九月十五日を名称を変えて祝日としたもの。二〇〇三年より九月の第三月曜日」。皆さん方の投句は、多様な句で盛況でした。中には殆ど同類の句もありました。そこにまた、俳句の妙味も感じられ、選句にも一層の気力を籠めました。

 優秀賞の西山勝男さんの句。作者は九十歳。畑仕事は、今も作者の本技なのでしょう。畠を如何に生かすかは、農作業の基本です。句を読んでいて、作者の年齢を見たとき、胸が熱くなる思いがしました。これこそ、農作業の中心を為す思いと言えるでしょう。
 林とみ代さんの句。作者も西山勝男さんと殆ど同齢の八十九歳。句の中心は、中七の「心は若く」にあります。第一句もそうでしたが、この年齢の人は、こころに若さがあります。一句を読んでいて、中七に来ると、わが身の芯が正される思いの句です。
 井手浩堂さんの句。この句も、「健康」への感謝が、一句の中心となっています。上五中七の「健康にまづは感謝の」です。一句の大方と言っても良いでしょう。我が身の成長を健康に据えてあるのが優れています。季語も善く活きています。
 岩崎美範さんの句。この句の良さは中七にあります。「息災を告ぐ」が、「敬老日」と釣り合っています。その対象は、「亡き父母」です。自問自答が良く生かされています。これらのことは、作者の俳暦が基本です。その基本が良く活かされた句と言えましょう。
  今月の佳句。〈武蔵野の空ひろびろと敬老日 石塚彩楓〉。〈敬老日老酒の壺の封を切る 岩川容子〉。〈若者の眼差し優し敬老日 右田俊郎〉。〈敬老の日の門柱に日章旗 近江菫花〉。

◎ 優秀賞、入賞に選ばれた方には、山本海苔店より粗品を進呈いたします。

今月の応募作品

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