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俳句庵2024年1月優秀賞発表

季題 

  • 父母在りし遠き佳き日の氷柱かな

    兵庫県 岸野 孝彦 様

  • 上京を決めたる朝や軒氷柱

    東京都 佐藤 美智子 様

  • 夕日浴び静かに並ぶ氷柱かな

    滋賀県 村田 紀子  様

  • 味噌汁は朝餉の匂い軒氷柱

    岐阜県 横山 道男 様

  • 氷柱見ることも稀ごと総の国

    安立 公彦

安立 公彦 先生 コメント

一月の季題は「氷柱」です。「つらら」と読みます。如何にも冬の思いのする題です。歳時記には、「水の滴りが凍って棒状に垂れ下ったもの」と記してあります。北国では、屋根から地上に届くような太く長い氷柱も出来ます。「垂氷(たるひ)」は氷柱の古称です。

 優秀賞の岸野孝彦さんの句。「父母在りし遠き佳き日の」が、全てを語っています。「遠き佳き日の」が詩型となっています。その中には、氷柱を飾った佳き日もあります。それも全て「父母在りし」に基づくものです。
 佐藤美智子さんの句。学校を卒業して、就職することになった。過ぎし日の春の季節です。ふと見上げた軒に、氷柱が垂れていました。その朝日を浴びた氷柱を見て、上京の思いは確と決まりました。中七の思いは、不動です。
 村田紀子さんの句。夕日を浴びて、静かに並ぶ氷柱に、こころ打たれる句です。中七の「静かに並ぶ」がみごとです。背景の「夕日」もふさわしいです。
 横山道男さんの句。主役は一転して「味噌汁」となりました。私たちの生活には欠かせないものです。「朝餉の匂ひ」が善いです。主役は味噌汁ですが、俳句本来の視点は「軒氷柱」にあります。表現の多様性が良いです。
  今月の佳句。〈軒氷柱独り暮らしに母をして 大澤定男〉。〈あいさつの声のくぐもる軒氷柱 海野優〉。〈豚小屋の大屋根氷柱落とす父 星月彩也華〉。〈明王の氷柱よろひて荘厳す 西山勝男〉。

◎ 優秀賞、入賞に選ばれた方には、山本海苔店より粗品を進呈いたします。

今月の応募作品

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