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俳句庵2024年6月優秀賞発表

季題 

  • 青梅の色づくころや妻の里

    神奈川県 山田 ひろ志 様

  • 青梅や眼下に青き千枚田

    東京都 岩川 容子 様

  • 縁側に母の椅子置き青梅とる

    東京都 佐藤 美智子 様

  • 青梅を漬くる母の背なつかしや

    千葉県 山田 翔子 様

  • 手を触るる青梅なるや旅の宿

    安立 公彦

安立 公彦 先生 コメント

 令和六年六月の季題は「青梅」です。梅雨に入ると梅の若葉が茂り、梅の実が太り始めます。青いうちに梅干にしたり、梅酒を作ったり、煮梅にして食べます。実が熟すると黄色となり、これを実梅と言います。梅は実梅より、青梅の方が本来の用途にあり、大事なのです。
優秀賞の山田ひろ志さんの句。青梅は熟し切れない青い内に、採って様ざまに加工して食事の中心となります。六月はその青梅の色尽く頃です。夫人の里は、地方色の豊かな里なのでしょう。「妻の里」が効いています。
 岩川容子さんの句。中七下五が、農村の景を善く表現しています。この青梅は、広い農地の一方に在るのでしょう。青梅とその眼下に広がる千枚田が善く表現されています。
 佐藤美智子さんの句。上五、中七が恰も実在の景のようです。下五は「実梅」でしたが題の通り「青梅」としました。「母」が実在の母のように身近に感じられます。
 山田翔子さんの句。この句も亡き母への追悼の思いの句です。「母の背」が善く効いています。母堂は生前よく青梅を漬けて居られたのでしょう。その思いが善く出ています。

選者詠
農村に近い町に旅に行きました。朝起きて庭に出ると、池のほとりに一本の梅の木があり、丁度実がなっていました。青梅です。思わず手が伸びて、その青梅に手を触れました。懐かしい感触でした。

今月の佳句
<青梅の色付きて子の病癒ゆ 大阪府 木山満><青梅を漬けたる母の手や匂ふ 東京都 豊宣光><青梅や居るはづのなき母をふと 茨城県 小山吾浪><芭蕉碑の近くへ転ぶ青梅かな 奈良県 山本啓>

◎ 優秀賞、入賞に選ばれた方には、山本海苔店より粗品を進呈いたします。

今月の応募作品

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