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俳句庵2024年7月優秀賞発表

季題 

  • 卒寿後の目的一つ山開き

    ブラジル 林 とみ代 様

  • 山開き友の名刻む遭難碑

    岐阜県 金子 加行 様

  • 山開き霊気に己律しをり

    大阪府 津田 明美 様

  • 法螺の音の風にのり来る山開き

    神奈川県 井手 浩堂 様

  • 遥かより望む名峰山開き

    安立 公彦

安立 公彦 先生 コメント

七月の季題は「山開き」です。歳時記は山開きを次のように紹介しています。「昔の登山は、一種の信仰行事であったため、夏期一定の期間以外は登拝を禁じた。この禁を解くことを山開きといい、名山を御神体でする神社では山開祭、開山祭を行うのを常とした。富士浅間神社は七月一日、木曽御岳は七月十日、出羽月山は七月十五日。現今の山開きは、スポーツとしての登山の開始の時期をも意味し、富士山は七月十日、北海道の大雪山は七月一日を山開きとしている。尚、ウェストン祭は、六月はじめの日曜日、信州梓川のほとりの岩壁にはめこんだウェストンの碑の前で、山開きを告げる記念行事がある。ウェストンは明治二十一年に来日したイギリス人牧師で、日本アルプスの名を世界に広めた山の恩人と称されている」。長文に及ぶが、『最新俳句歳時記(文芸春秋刊)』からの引用です。

選評
 七月の季題は「山開き」です。出句者は、八十八名。出句数は三二六句。その地域は、関東、関西、四国、九州、沖縄、ブラジルに及んでいます。
優秀賞の林とみ代さんの句。作者は九十歳で、ブラジルからの出句です。「卒寿後」とあります。作者の現実の思いでしょう。「目的一つ」が揺るぎません。句を読んでいると、目の前が明るくなる思いがします。
 入賞は三句、金子加行さんの句。「友の名刻む遭難碑」に心打たれます。山開きに遭難は折節聞きます。津田明美さんの句。霊気に自分自身を律するという思いに、こころ打たれます。井出浩堂さんの句。「法螺(ほら)の音」は「山開き」と微妙に一致します。三句とも、趣の深い、内容のある句です。

選者詠
旅先で、ふと目にする景の一つです。卒寿の身にも、名峰の面影は、奥深く多彩に映ります。

◎ 優秀賞、入賞に選ばれた方には、山本海苔店より粗品を進呈いたします。

今月の応募作品

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