メニュー閉じる

俳句庵2025年5月優秀賞発表

季題 

  • 鯉のぼり仰ぐ笑顔の夫婦かな

    千葉県 山田翔子 様

  • 鯉幟靡く水田の一軒家

    長野県 木原登 様

  • 残されて故郷守る鯉幟

    大阪府 木山満 様

  • 古書店のはたきの音や鯉のぼり

    岐阜県 谷弘行 様

  • 新緑の庭木に触るる朝(あした)かな

    安立 公彦

安立 公彦 先生 コメント

優秀賞の山田翔子さんの句。今月の題は「鯉幟」。端午の節句には欠かせない鯉幟。道を行くと、其れぞれの家の門柱に鯉幟が翳してある。馴染みの深い鯉幟である。この句、中七下五が良く出来ている。「仰ぐ笑顔の夫婦」とあれば、夫婦の睦まじさも良く分かる。季語の鯉幟が生きている。作者は六十六歳。必用な言葉が生きている俳句と言えよう。「鯉のぼり」らしい俳句である。
 入賞の木原登さんの句。「水田の一軒家」が良く景を表現している。今でも地方に行くとこういう景がある。そういう一軒家に鯉幟が靡く風景は、まさしく良景と言えよう。
 木山満さんの句。上五中七は、まさに現代の風景と言えよう。鯉幟の泳ぐ家に、成人男性の姿は余り見なくなった。皆都会に行く。鯉幟はそういう家を守るかのように翻っているのだ。
 谷弘行さんの句。古書店の本棚の芥払いに、はたきを使うのは良く見る景です。そのはたきの音が聞こえるほどの近い家です。門扉に添える鯉のぼりに、そのはたきの音が聞こえてきます。何となくひなびた音が、古書店とよく会う思いがします。今でもこういう景は残っているのでしょう。
 佳作の右田俊郎さんの句。この句は実業そのものです。悠然とが宜しいです。老人日記さんの句。吊り橋と、川面の取り合わせが良く合っています。後藤允孝さんの句。上五と中七の取り合わせが良く出来ている句です。川島欣也さんの句。中七下五との取り合わせが宜しいです。
 
今月の佳句。<悠然と大空泳ぐ鯉のぼり 右田俊郎>。<吊り橋や川面を泳ぐ鯉幟 老人日記>。<影までも明るく泳ぐ鯉幟 後藤允孝>。<鯉のぼり亡き長兄の誕生日 川島欣也>。

◎ 優秀賞、入賞に選ばれた方には、山本海苔店より粗品を進呈いたします。

今月の応募作品

Page Top