俳句庵2024年2月優秀賞発表
季題 2月 「猫の恋」
-
恋猫へ月光白きセレナーデ
長野県 木原 登 様
-
音立てずただ見つめ合う猫の恋
大阪府 木山 満 様
-
夜の闇深まるほどに猫の恋
ブラジル 林 とみ代 様
-
月明の里に響くや猫の恋
兵庫県 岸野 孝彦 様
-
昨夜(きぞ)聞きし声にさも似る恋猫や
安立 公彦
長野県 木原 登 様
大阪府 木山 満 様
ブラジル 林 とみ代 様
兵庫県 岸野 孝彦 様
安立 公彦
安立 公彦 先生 コメント
二月の季題は「猫の恋」です。先月の「氷柱」とは異なり、生きている猫の妻恋いの句です。春の歳時記をめくると、芭蕉、蕪村、一茶、子規と、先人の句が注目を引きます。皆さんの出句は三百余句、その中から注目の句を選び、選句を重ねました。
優秀賞の木原登さんの句。一読「月光白きセレナーデ」の十二文字が注目されます。セレナーデは小夜曲とも訳されています。恋猫が正調に、清々しく表現されています。上五は「や」で切りましょう。
入賞句の木山満さんの句。中七が生きています。「音立てず」、「ただ見つめ合ふ」、言葉の配合が宜しいです。
林とみ代さんの句。「夜の闇」が効果的です。中七の「深まるほどに」も、十七文字の配列の確かさが出ています。
岸野孝彦さんの句。上五、中七で背景が活きています。一句の構成に感性が良く活かされています。
選者詠、恋猫の声には抑揚があり、それは大方の恋猫に共通しています。
今月の佳句。〈むらさきの闇をひきさく猫の恋 大阪府 鈴木三津〉。〈シーサーの睨みつけたる浮かれ猫 沖縄県 渡嘉敷五福〉。〈戻る家有りて幸せ猫の恋 大阪府 津田明美〉。〈鳴く牡の切なき声音猫の恋 兵庫県 高見正樹〉。
◎ 優秀賞、入賞に選ばれた方には、山本海苔店より粗品を進呈いたします。