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俳句庵2025年7月優秀賞発表

季題 

  • いづこより干梅にほふ睡りかな

    新潟県 松井 宙岳 様

  • 海の音聞かせて梅を干す生活

    埼玉県 石塚 彩楓 様

  • 全粥に梅干一つ明日退院

    大阪府 津田 明美 様

  • 梅干して子ら待つ里となりにけり

    茨城県 小山 吾浪 様

  • 干梅や一番星をかをらせて

    宮崎 洋

宮崎 洋 先生 コメント

 今月の季題は「梅干し」。「梅干(し)」は、晩夏の季語。傍題に「干梅」「梅干す」「梅漬」「梅筵」など。青梅を塩で漬け、紫蘇壺の紫蘇に染めて漬けなおし、筵にひろげて土用に三日三晩干す。赤い実が酸っぱい匂いを漂わせる。日本人の生活に深く根をおろした食品。固定観念に捕らわれない作者自身の発見が大切。
 松井宙岳さんの句。佳句とは読者に想像の余地を残してくれる句。今年初めての干梅の香。我が家もそろそろと思いつつ睡りに。梅を干す季節になったというめでたさがある。
 石塚彩楓さんの句。干梅と何も関係ない「海の音」を取り合せて詩になった。生活(たつき)とあるので作者は梅干作りを生業としているのだろう。
 津田明美さんの句。やっとあす退院できる喜びと、これからの意気込みが全粥の梅干の色に象徴されている。作者の思いが伝わる。
 小山吾浪さんの句。梅を干すのは土用が多い。もうすぐ子供たちが里に帰ってくる。「子ら待つ里となりにけり」の措辞に、子供を待つ気持と、迎える準備が整った安堵感がある。
 今月の佳句。<梅仕事とはきれいな言葉梅漬る 亀山酔田>、<梅干しや愚直に生きて老いのどか 老人日記>、<干梅に星の雫のきらきらと 石塚彩楓>、<熱き茶に梅干し入れて冷ましけり 山野洋一>。

◎ 優秀賞、入賞に選ばれた方には、山本海苔店より粗品を進呈いたします。

今月の応募作品

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