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俳句庵2026年1月優秀賞発表

季題 1月 「初夢」

  • 初夢や母は静かに笑ひをり

    大阪府 一石劣 様

  • それだけのことよ初夢忘るとは

    広島県 老人日記 様

  • 初夢や振り向く君の顔見えず

    神奈川県 立野音思 様

  • 初夢に香りをつけるアロマかな

    静岡県 城内幸江 様

  • 目頭のあつきを隠す初寝覚

    宮崎 洋

宮崎 洋 先生 コメント

 「初夢」古くは節分の夜見る夢であったらしいが、今では正月元日の夜に見る夢を指す。二日の夜に見る夢を言うこともある。「一富士二鷹三茄子」に代表される吉夢を見ると、一年いいことがあるとされている。吉夢を見ようと枕の下に宝船の絵を置いたり、悪夢を食わせるために獏の絵を枕の下に入れる。
傍題に「初枕」「獏枕」また「初寝覚」が傍題となっている歳時記もある。
 一石劣さんの句。初夢に作者は母の夢を見た。若き母でなく、着物の母でも吾を抱く母でもなく、余計なものをすべて削り落した「静かに笑う」母に、作者の母への思いが滲む。
 老人日記さんの句。作者は初夢を忘れてしまった。忘れるなんてそれだけの初夢だんたんだと。占いで人生が分かるかと自分に言い聞かせつつも、口惜しさが滲む。滑稽だ。
 立野音思さんの句。「顔見えず」の措辞が上手い。君が振り向くが肝心の顔が見えない。一番見たいものが見えない。顔が見えないと君でないかもしれない。作者の焦燥が募る。
 城内幸江さんの句。初夢を嗅覚で捉えたのが新鮮だ。アロマの香で部屋を満たし、アロマの香の夢を見るのだろう。

今月の佳句。
<嬉しげに初夢語る祝膳 一石劣>
<初夢やその曖昧も吉として 志村宗明>
<しゃべらずにおこう初夢叶うまで 津田明美>
<初夢や妻に語れぬことばかり 塚本治彦>

 「初夢」で句を詠むと多くの人が、夢を詠む。宝くじ当たる、王子様、有名人と恋、難関突破、特選、宇宙旅行、万馬券等々。詠んだ瞬間は面白いが、味わいが残らない。俳句全てと同じだが、作者の人生、生活、人柄が滲み出る句を詠んで欲しい。一週間後、一年後、十年後読んでも感動する句を。
 

◎ 優秀賞、入賞に選ばれた方には、山本海苔店より粗品を進呈いたします。

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