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俳句庵2026年2月優秀賞発表

季題 2月 「春めく」

  • 春めいてついつい本音語り出す

    宮城県 林田正光 様

  • 結びたる雨の雫も春めきぬ

    神奈川県 志村宗明 様

  • 春めくや言の葉一つまた一つ

    滋賀県 近江菫花 様

  • 幹に耳当つれば山毛欅の春動く

    長野県 木原登 様

  • 春めくや習字やうやくほめられさう

    宮崎 洋

宮崎 洋 先生 コメント

 「春めく」は初春の季語。まだ寒さが残る中で、気候や景色、風情が春らしく感じられること。「春浅し」よりやや遅い。 
傍題 春動く 春兆す

 林田正光さんの句。本音は何のことだろう。春は芽吹きの時。今まで胸の奥に閉じ込めていたことを口に出し始める。「春めく」が効果的。「ついつい」に作者の人柄が出ている。リズムも良い。
 志村宗明さんの句。「結びたる雨の雫」は春に限らない。しかし季語「春めく」が置かれると、小さな雨粒が映す様々な色彩が見えてくる。
 近江菫花さんの句。幼子が言葉を覚えて喋り出す。「一つまた一つ」に親の喜びが感じられる。季語の「春めく」が親子を包んでいる。
 木原登さんの句。木の幹に耳を当てれば、樹液が流れる音がする。というのは科学的ではないそうだ。音は枝の軋む音、葉音などが幹に伝わったものらしい。しかし詩人はそれを木の命のように感ずる。「山毛欅の春」の措辞が上手い。

今月の佳句。
<心音は軽い音楽春めきて 鈴木千年>
<退院日春めく街の昼餉かな 久保大介>
<春めくや大地ふくらみきたりける 鈴木三郎>
<釣逃す魚と目が合ふ春めけり 大和田よつあし>

 「春めく」に相当する、一般に知られるたくさんの現象、事象がある。その一つを取り上げて、季語「春めく」を置くと、それらしい句になる。しかしそれは「春めく」の説明になってしまう。句の中で季語の説明をすると季語が活きない。自分自身の発見が大切。

◎ 優秀賞、入賞に選ばれた方には、山本海苔店より粗品を進呈いたします。

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